生き物係
ららばい
先生、
私はめだかを飼っています。
卵から孵化させました。
毎日餌をすりつぶしてあげています。
ぱくぱくぱくぱく
みんな美味しそうに食べます。
おいかっけこはしょっちゅうです。
お母さんがご飯よって言うまで、
いつまでも眺めています。
私はこころでお話する。
声が詰まって喉をつねる度、
破裂しそうな膨らみが食道を下って、
心臓がとくとくと熱くうねる。
大人たちは悲しそうな目で私を見る。
いいのよ別に。
大切な人に大切なことだけ伝えられれば。
本当の大切はそう多くはないはずだから。
「いき、もの」
3年生の係り決め。
同級生が一斉に振り向く。
先生のあんぐりした顔。
校庭の喧騒にさらわれそうな、
かっすかすの声だったけれど、
教室が一瞬止まったその日を、
私は鮮明に覚えている。