長生き
藤原絵理子


クリーム色の明るい部屋
お遊戯をしている
「すずめの学校」に合わせて
動きにくい手を叩く

楽しそうに,子供になって
先生の動作をまねる
だんだん
ほんとうに楽しくなってくる

「長生きしてね,お母さん」
娘が言ったような気がする
長い間会ってない気がする
娘なんて,いたのだろうか?

同じ朝が来て
同じように日が暮れていく
スケジュールをこなして
年月が過ぎていく

ピンクのバラを抱えて
たまに来る老女が
「お母さん,長生きしてね」,と
満足そうな顔で言う


自由詩 長生き Copyright 藤原絵理子 2014-05-20 22:35:19
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