記憶
たもつ
てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
いつまでたっても誰も来ない
壊れた蝶番を直し
ペンキも二回塗り替えた
ドアの向こうが何であるのか
覚えてはいるけど忘れている時の方が
きっと多い
もうみんな生きてないのかもしれない
自由詩
記憶
Copyright
たもつ
2005-01-21 19:04:40
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