野良猫
ららばい

真っ暗な夜
今日も私はひとり
青臭い川原を歩いている。

人間たちは
時々撫でてくれ
時々餌をくれ
そして笑い声とともに
立ち去っていく。

人間たちは
時々私の尻尾を踏み
時々私に空き缶を投げつけ
そして凍てついた視線とともに
立ち去っていく。

どうせなら
めちゃくちゃに傷つけろ。
私のからだからたくさんの血が流れ
もう起き上がることことができなくなるくらい
めちゃくちゃに傷つけろ。

ああ、でも
今日みたいに
こんなにも月が明るくて生ぬるい夜は
私の胸の綻びが少し緩んでしまいそう。

  誰に
  どのくらい
  こころを開いて
  どのくらい守ればいいの

今日も明日も明後日も
私はがしがしと
ひとり川原を歩き続ける。

迫りくる
何かとてつもなく大きなものに怯えながら。



自由詩 野良猫 Copyright ららばい 2014-05-16 09:27:14
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