虹とスニーカーと奇想
比良末潮里

隣に彼がいないのをいいことに
オナニーする夕暮れの美少女は
悲壮感漂ってグラフィカルな幻覚をみる

もっぱらハウスかテクノのピコポコ電子音苛まれ 焦りばかりの毎日
蛍光カラーがポップに散歩する

これって噂の自動思考か。
「どうせ私なんて…」でリピートしてさっきから百回くらい止まらない
抱きしめられたぶんだけの幸せを返そうと思っても、そんな時キミはいつもいない

脈絡のひとつもつかまえられないまんま
メリーゴーランド回転して
あっち側に行けない

監視カメラがあちこちで目をギラギラさせて、私の脳内を掻き回して引っ張り出す

きっと
本当の自分なんか見捨てられる
ホームセンターを右に曲って真っ直ぐ道なりだって言われたけど…店らしきものがひとつも見当たらないから、きっとこっちは商店街じゃないのに

明日地球最後の日だとして
海辺でセックスしたい
って彼氏が言うから
「なら腹上死だね」
って笑ったら
「何それ、わかんねー」
って怒りながら泣くから頭撫でた

青姦でひとつ全てが終わったとして
白いオタマジャクシに未来は無いんだね

帰る場所もない

今だって生まれてきたことに深い意味なんてないのに
無意味に泣きたくなるんだ

オレンジの窓辺は
西陽で焼け爛れて
下腹部から下熱くて冷たい
唇がヒリヒリとしびれて
世界が戻ってく

爽快な場所へ飛びたいや
イけないけど
いつも



自由詩 虹とスニーカーと奇想 Copyright 比良末潮里 2014-05-15 15:25:06
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