地図
nonya
いつだっただろう
眉間の裏側の暗闇に
地図が置かれているのに
気づいたのは
等高線もない
記号もない
縮尺も方位も分からない
その地図は
日々の出来事に
カサコソとなびいては
意識の天窓を開けて
妄想の尻を叩いた
眉間の裏側にある
地図を辿って僕は
心象を拾い集め
文脈を探し当てた
記憶の欠片で描かれた
地図の正しい読み方は
心の水平線を眺めるように
眉を柔らかく開いて
少し遠い目をして
柔らかくて遠くて
遠くて遠い
目をして
ああ
そんなに眉間に皺を寄せたら
地図がくしゃくしゃに丸まって
見えるものしか
見えなくなるじゃないか