非現実
……とある蛙

淡々と歩いて居た日常が
ある日叫び出す
テレビの中にあった非日常を
引きずり出し目の前に突き付けるために
それは突然現れる
非日常と現実を区別して居た
馬鹿馬鹿しさに気づかず
悲鳴を上げて居る
日常が現実だと勘違いして居た自分が
悲鳴を上げて居る
私は突然テレビ画面の中の
小さな虫になってしまったのだ。
グレゴールザムザ程の
大きさがあればそれなりに尊重されようが
今の私は現実の中の小さな染みでしかない。
自分が変身したことに気づいただれかが
騒いで暮れるに違いない。
最低でも家族がいなくなった自分に気づいて
騒いでくれるに違いない。
最初の一日二日はそう思って居たが
誰も気づかない
ッ家族すら気づかない。
だれも名前を口に出さない
そのうち小さな羽虫の自分が現実になっている



日常も非日常も現実で
テレビ画面の内外の区別などは
体腔の内外ほどの差異も無く
現実と空想の差は
まともな人間ならすぐ理解できるものだ


自由詩 非現実 Copyright ……とある蛙 2014-05-14 10:10:45
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