サヨナラ・コンテンツ
比良末潮里

もう誰も助けてくれない気がした
胸が抉られて、砂漠にたった1人
ビルディングとビルディングの間
間の抜けた衝動を孕んだ死角
もうここから一歩だって抜け出せない

都電通りめがけて、真っしぐらおじいちゃんとおばあちゃんが光速
誰も止まらない
スピードが相手だから
スピードのない私は空っぽ
その先に行きたくても
もっぱらお年寄りの集団

あなたの手をはなしたからね
あんなに重要なアイテムとは知らなかった
猫が素通りする
猫になりたかった
いっそのこと 眠ったまま動かない

泣き方忘れた
言葉の発し方
声は出るけど紡げない、結えない、編めない、織り上げられない
もうどこにも行けないのに

信号は赤だ
もう渡れない
最前列で見ると無数の点にしか見えないものを見せられてるみたいなデジタル社会で
なに一つわからないまま
世界が終わってく

駆け足よーいどん!
してフライング
滑り込みセーフの夕方
交通事故が多発してもう走れなくなった自動車と自転車

しがらみばかりが追いかけて
くしゃみする

‘明日はくる’
という
絶望感
‘輝いた未来'がみえて仕方ない哀しみ

あなたがいなくても
生きていけてしまうことの
残酷


自由詩 サヨナラ・コンテンツ Copyright 比良末潮里 2014-05-13 23:42:10
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