少女
月形半分子


少女よ 走れ
お前は草原の風
決して立ち止まらない
少女よ 走れ
お前は海原より来しツバメ
決して迷う事はない

少女よ 走れ
その柔らかな肌が草に破れても
風に負けない黒き髪を逆立て
道しるべのように振りたてよ

少女よ 走れ
柔らかな血の命じるままに
きらめく瞳の光り射すほうへ

少女よ 走れ
山は動かぬが時は動く
闇は怖いぞ
鬼はくるぞ
だが
神のおわすを忘れるな

少女よ 走れ
少年は ナイフを持った
少女は こぶしをにぎれ

少女よ 走れ
あの古き太陽がお前を
卑弥呼と名付けるその日まで

お前の走ったすべての荒野に
日の本の印がつけられていく

少女たちよ 走れ
少女たちよ 卑弥呼たちよ

あの頂上にのぼり
振りかざすのだ
私達の国のはじまりに
にぎりしめた愛を



自由詩 少女 Copyright 月形半分子 2014-05-13 04:40:39
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