おとむらい
そらの珊瑚

ちいさな命が逝きました

なにもできないことが
くやしくて
何度も名前をよびながら
一度も
空をとぶこともなかった
幼い翼を撫でておりました
スポイトからこぼれた水を
君は果たして飲んだのか
柔らかなくちばしは
誰一人傷つけることなく
うずくまるようにして
ときを待っていたのですね

ちいさな命が逝きました

君と過ごしたのは
たった一週間でしたが
とても愉しく大切な時間でしたから
悲しみは
胸にしまえず
ちらかっていますが
魂は重いという事実を
手のひらに
確かめています
朝が来て
黒い瞳は閉じられていました
さえすりが聴こえたのは
そらみみだとしても
ねえ、
傍らに
君は居るのでしょう

2014年5月8日
命を手放して
君は
えいえんを手に入れたのだと思います
君の世界は
私の世界の
ほんの少し手を伸ばしたところに
在るのでしょう







自由詩 おとむらい Copyright そらの珊瑚 2014-05-09 09:14:10
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