電車が参ります
ユッカ

中央線の人身事故を
今日も見て見ぬふりをしてやりすごす

誰かの血で洗われた今日という日の肌を
おざなりに撫でることでなだめすかしても
誰かの死んだレールの上ではくつろげないから
今日も夜にはゲロを吐く

暗転して、

大丈夫?大丈夫?って
起きぬけに天使が聞いてきてくれたって
知らない人に背を撫でられるのは嫌いだから
青ざめた肌のままその手を振り払って走る
あたしは神様よりロックミュージシャンのほうが好き

賛美歌の歌い方も知らないくせに
懺悔だけは一流の日々
それでも五月は瑞々しい ハレルヤ つらいや

誰もいないからという理由で
各駅停車の電車に乗る
ちょっと待ちなさいと
天使が止めてくれても
熱がでてることに気づかなかったという話を
あなたなら戸惑わず
ただ面白がってくれるだろうから
もうそれでよかった
はじめから光なんかなくっても
今日のところは
それでよかった


あたしはまたしてもレールの上


自由詩 電車が参ります Copyright ユッカ 2014-05-08 20:20:46
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