初めて入院する夜に
服部 剛
深夜、火がついたように
泣き出した2才の周は
生まれた時と同じ病院に
急遽、肺炎で入院した
生まれて間もない
ちっこい周を世話してくれた
懐かしい看護師さん達が
「あらあら、かぜがひどいわね
だけど、大きくなったわねぇ」
ぜいぜいぴいぴい息する周を
懐かしそうに、囲んだ
周よ、初めての入院の夜
暗闇にぱちり、と目を覚ますお前は
両目いっぱいに涙を溜めて
ママを探して、叫ぶだろう
パパももしも、お前のように
暗闇に独りぽっちなら
恐くてびくびく震えるだろうから
今はせめて、ママにすがりつきなさい
そうしてパパも帰る前
お前をぎゅっと抱きしめてやろう…
誰もいない夜に泣きじゃくっても
パパとママは少し離れた同じ空の下で
いつもお前を案じているのだから
お前はお前の夜と、闘いなさい
そしていつか――
お前自らが
暗闇に芽生える光の笑顔で
周囲をあまねく
照らすひととなるように