無題
ツ
星が
揺れる
みなと
水面に投げ入れられた小石が、
いくつもの、
浅い、とうめいな
円運動の光を連続させながら、
熱風の凪いでしまった
真っ黒な海を、
ひゅるひゅる
ルル
と、滑ってゆくように、
足の立たない
この浅瀬を、
たぶん
遠くまで、
歩いてゆくことができる、
いつか、
未明の、この夜をこえて、
あの島へわたろう
想い出からはるか彼方
切りわかたれて、
ビルと星の間を流れる、
衛星の光からわずかに遅れて
置き去りにされてゆく声たちを、
時速七ノットの、
海風で、
カラカラに乾ききった塩みたいに、
凍った笑顔で
忘れ飛ばしながら