無題

星が
揺れる
みなと


水面に投げ入れられた小石が、
いくつもの、
浅い、とうめいな
円運動の光を連続させながら、
熱風の凪いでしまった
真っ黒な海を、
ひゅるひゅる
ルル
と、滑ってゆくように、
足の立たない
この浅瀬を、
たぶん
遠くまで、
歩いてゆくことができる、
いつか、
未明の、この夜をこえて、
あの島へわたろう


想い出からはるか彼方
切りわかたれて、
ビルと星の間を流れる、
衛星の光からわずかに遅れて
置き去りにされてゆく声たちを、
時速七ノットの、
海風で、
カラカラに乾ききった塩みたいに、
凍った笑顔で
忘れ飛ばしながら


自由詩 無題 Copyright  2014-05-03 18:16:51
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