クリームシチューとは何なのか
ブルース瀬戸内
クリームなのかシチューなのか
それが問題なのだと言われても
クリームですしシチューですと
答えることしか僕にはできない。
それでも言わせてもらうけども
クリームシチューの正体なんて
クリーム味のシチューでしょと
軽口を叩く輩には腹が立つのだ。
クリームとシチューの出会いは
料理史に燦然と輝く奇跡であり
「私をあなたに混ぜなさい」と
クリームが発した歴史的発言は
その後長く語り継がれているが
あれは実は正しい歴史ではない。
シチューが先に声をかけたのだ。
「よければお入りなすって」と
シチューが提案したのが事実だ。
クリームは喜んで提案を受けた。
そしてクリームは身を預けんと
シチューに勇躍飛び込んだのだ。
それゆえ僕は腹が立つのである。
過去への配慮が足りないような
クリームシチューへの扱いには
歴史修正主義の臭いすら感じて
ついつい過度に反応してしまう。
クリームシチューとは何なのか。
クリームでないとは言い切れず
シチューでないとも言えないが
こう言うことはできるのだろう。
それはクリーム味のシチューだ。
結論が一緒だとの批判はあるが
美味ければどうでもいい事だし
なんやかんやと言っている間に
冷めてしまっては元も子もない。
言いたいことは山ほどあろうが
まずはたらふく食べてしまおう。
母さん、あれを開けたい気分だ。
結婚した日のワインを開けよう。