光の体
ユッカ

あなたがあんまり優しいから、ため息をついてしまいたくなるんだよ。朝露のように現れて薔薇のように砕け散ったあの日の予感を、今もお守りみたいに首からつるして生きている。何かに喩えようとしてはどれものびやかに唄いきることができなくて、片っ端から破り捨ててしまう。人類にとっては古臭くて私にとっては新しいいくつかの衝動を。好きでも愛してるでもない言葉をさがしているんだ。恋でも愛でもない名前が必要なんだ。ほころんだまま散ることを知らない蕾のような声が、喉の奥深くでわたしの体を広げている。形を与えたいから、文字に変えて紙に写して本にまとめようとするんだね。抱きしめたいから、体が必要なんだね。それなのに心が絶え間なく震えるから、ため息をついてしまうよ。呼吸を整えようとしてよろめいても、手をつく場所なんかないのに。紙面の狭さにふらついても、あなたはここにはいないんだから。百行の詩をたったひと吹きのため息に変えて、わたしはあなたを唄ってしまいたいけど、それじゃあ風に吹かれた綿毛のように なくしてしまうのかもしれないね。


自由詩 光の体 Copyright ユッカ 2014-04-30 22:53:33
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