目よ見よ見えない言の花
ただのみきや
蛇口から
ゆっくりと
こぼれて
おちる
透明で
ふくよかな
水の
躍動よ
掌を
舟のように
編んで
受け切れず
細波立つ
小さな池に
思い切り
飛び込んで
顏を洗う
朝は
ぶちまけられた
光のミルク
失われた
肌色の
こじ開けられた
祈りの中で
破裂する
山椒魚の
卵
韻律の白濁
それは
わたくしの
失くした
ひとみたち
掌から
仰ぎ見る
空虚な自我
風の戯れ
カタコンベ
双子の少女
白髪の
干した無花果
スカシバの
時を止める
百万回の
まばたきが
混濁させる
虚と実
仄暗い
生と死
止まれぬ
夢を
詠めずに
病んで
文字を纏わず
ひと鳴き
ひと刺し
ひと知れず
《目よ見よ見えない言の花:2014年2月23日》