トリトマの花
ichirou
18歳の君の春は
新しい生活の始まり
知的障害を持ちながらも
厳しい自立を自ら課し
家族と離れ
グループホームで暮らし
工場で働く
そんな君の切実な悩み
恋
そして
性欲
高校時代君には彼女がいた
でも
教師達の強い反対で別れさせられた
辛い過去
それでも君は
新たな恋をした
君は
告白どころか
絶対に覚られたくない
その気持ち
不安
衝動
どうしようもなく
辛くなる
そして
性欲というものが
君の頭にこびりつく
悩んでいいんだ
君は正常だ
君は普通なんだ
でも辛いなら
今は自慰でいいじゃないか
性欲と恋が混沌となり
君は混乱する
君は押さえ切れない恋を
性欲という欲望で覆い隠した
そんな君を見ていると
トリトマという花を思い出す
昔中学生の頃
気になる園芸部の女の子が
花壇に株を植えていた
それ何?
トリトマよ
トリトマの花が咲いた頃
園芸部の女の子はトリトマの花に
顔を寄せて微笑んでいた
その夜
僕は自慰をした
変わった形のオレンジ色の
トリトマの花と
可愛い彼女の横顔を
思い出していた
自分中のほのかの恋心と性欲は
昇華して
トリトマの花になるような
そんな気がしていた
切なく
甘く
清らかな
恋と性
そして
トリトマの花
君の春はまだ始まったばかり