トリトマの花
ichirou

18歳の君の春は
新しい生活の始まり

知的障害を持ちながらも
厳しい自立を自ら課し
家族と離れ
グループホームで暮らし
工場で働く

そんな君の切実な悩み

そして
性欲

高校時代君には彼女がいた
でも
教師達の強い反対で別れさせられた
辛い過去

それでも君は
新たな恋をした

君は
告白どころか
絶対に覚られたくない
その気持ち

不安
衝動
どうしようもなく
辛くなる

そして
性欲というものが
君の頭にこびりつく

悩んでいいんだ
君は正常だ
君は普通なんだ

でも辛いなら
今は自慰でいいじゃないか


性欲と恋が混沌となり
君は混乱する

君は押さえ切れない恋を
性欲という欲望で覆い隠した


そんな君を見ていると
トリトマという花を思い出す

昔中学生の頃
気になる園芸部の女の子が
花壇に株を植えていた

 それ何?
 
 トリトマよ

トリトマの花が咲いた頃

園芸部の女の子はトリトマの花に
顔を寄せて微笑んでいた

その夜

僕は自慰をした

変わった形のオレンジ色の
トリトマの花と
可愛い彼女の横顔を
思い出していた

自分中のほのかの恋心と性欲は
昇華して
トリトマの花になるような
そんな気がしていた

切なく
甘く
清らかな
恋と性

そして

トリトマの花




君の春はまだ始まったばかり









自由詩 トリトマの花 Copyright ichirou 2014-04-26 05:57:05
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