黒猫 / 陽の当たる暗闇に消えていくもの
beebee




都会の一角に寄り添って
おまえは小さき声を上げていた

1月の薄い陽射しを浴びて
身体には輝く黒石の毛皮をまとい
丸まり
鞠のように丸まり
キリキリと堅く引き締まり
野生を内に殴り付けている

顔を上げると
瞳は砕かれた黒曜石のようだ
口元小さく白い歯を剥いて見せる
アーモンドのように目蓋を堅く閉じて
小さき黒き手で顔をぬぐった

原始の風に鼻先を舐られながら
薄く視線を流し
眠ぶそうに顔を小さく振る

いつかおまえは都会の暗闇に溶けていくのだろう

今しも太陽が刻む薄い光の影に切られ
おまえは
小さく声を上げ
立ち上がり歩み始める

陽の当たる暗闇に向かって

輪郭が揺すれ
光の漣を流しながら





自由詩 黒猫 / 陽の当たる暗闇に消えていくもの Copyright beebee 2014-04-25 02:30:45
notebook Home