さよならの鎖
唐草フウ


私の目はどんどん見えなくなっている
ぼんやりと、ゆっくりと、確実に
どんどん見えなくなれば
みなの姿も あの人の顔も
どんな感じなのか 憶測で考えていくだろう
できるだけいい方向へと思うようにしたい


この両手の10本の指に
鎖が絡まっている
「はじめまして」をいえば編みこまれ始める
だからこれは 
さよならの鎖
いつかかならず時が鍵となって解き
そこへ置く時が来る

もしかすれば脚や胴体にも
じゃらじゃらと下がっているのかもしれない
錆びかけながら 重たいながら
生きている間はともにいるのだろう


こんにちは、ではじまる細い糸が
いつかドロドロと固まりだしても
これだけは 投げ出せないものだけは
残るんだろう 私の中に


悪くなった目にも
朝の薄暗い明るさはやさしい










自由詩 さよならの鎖 Copyright 唐草フウ 2014-04-24 05:40:04
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