さよならの鎖
唐草フウ
私の目はどんどん見えなくなっている
ぼんやりと、ゆっくりと、確実に
どんどん見えなくなれば
みなの姿も あの人の顔も
どんな感じなのか 憶測で考えていくだろう
できるだけいい方向へと思うようにしたい
この両手の10本の指に
鎖が絡まっている
「はじめまして」をいえば編みこまれ始める
だからこれは
さよならの鎖
いつかかならず時が鍵となって解き
そこへ置く時が来る
もしかすれば脚や胴体にも
じゃらじゃらと下がっているのかもしれない
錆びかけながら 重たいながら
生きている間はともにいるのだろう
こんにちは、ではじまる細い糸が
いつかドロドロと固まりだしても
これだけは 投げ出せないものだけは
残るんだろう 私の中に
悪くなった目にも
朝の薄暗い明るさはやさしい