日曜日の詩
timoleon
ウールのベストは暑いかな,と思いながら
まだ肌寒い春に,詩人の家に行った
その部屋はアトリエのようなコバルトブルーの壁紙が貼られていたので,
アトリエなんだろう,詩人の子供は自由に遊んでいるし,
鳥の絵や,ポストカードや,実際に鳥も飼っているから.
気兼ねなく思春期の中学生のようなことを言えるのは,
ぼくらがいくらか年齢を重ねて,カーテンが風にゆられるように,
幾重にも軽やかに,以前のことを薄い感情にしてしまっているから,
いつか重々しいことばからも解放されて,軽い素描のような
詩を描けたら,って,モーヌ。の詩みたいに.
思っていたけど
たいしたこともなかったのに,深刻そうに,
まるで母親に愛されなかった子みたいに,
地獄でも見たのか?自分ばかりで,
他人を愛したいのに,自分は愛されなかったような,
そんな捨て去られた自転車のような詩しかまだ描けてない.
ほんとうは,まだ詩を描いてない,
そんな気持ちが,ずっと背中に貼りついている.
あのときも,いまも,
いくらか,いまのほうが,うそが下手になった
ほら,もうモーヌ。に追いついて
ぼくも,同い年になった,
ぼくは,ほんとうに詩が描けないことを知ることになって,
蒼穹に矢を放ち,この身を貫けばいいのだから.