軋む人
ただのみきや

ことばに変換できない
内に断層の捲れ上がる感覚
穿うがたれた二つの池が風もないのに細波立つ
千も万もの透明な手足を生やしては
縋るものもない空の空を
死にもの狂いで掻き毟る

――たかが数秒

死んだ子を抱くように
何かが冷たく麻痺したまま
工場ラインの規則的な呻きと吐息で
違わない日常を量産して行くが
時折 奇妙な発作
笑い顔で泣き 泣き顔で笑い
気づけばおのれのはらわたをつかみ出し



         《軋む人:2014年2月》


自由詩 軋む人 Copyright ただのみきや 2014-04-22 22:12:19
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