夜の帳がおりるころ
林 淳子

夜の帳がおりるころ

窓枠をめざすもの

ベッドの下をめざすもの

テレビの画面を目指すもの

外気を求めて出かけるもの

温もり求めるもの


夜の帳がおりるころ

こどもの手の中へ
柔らかい節の間へ
呼吸器のなかへ
ハウスダストは散り散りに

天井から
トンネルを抜け
時間をかけて 降り 積もる

銀色のねずみも
茶色のねずみも
わたしも
こどもも
ドラセナの葉も
小さな寝床に潜り込む

宇宙のチリは ほうき星となり
長い尾を放つがごとく
あなたも
はるの日差しにひかり
美しく舞い上がるまで

密かに重なり 
うっすらと積もったほこりに扮して
ねむるといいでしょう


自由詩 夜の帳がおりるころ Copyright 林 淳子 2014-04-22 02:08:58
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