王子(カレ)という名の消耗品
比良末潮里



ものすごく可愛い声で
鳴く動物がいます
ものすごく可愛い顔で
笑う女の子を抱いて
リボンで包んで大切にするのは
男の人じゃなくて
やっぱり女の人

男の人は
ただのラッピングされた
お兄さんていう
お人形

男の人のお尻の
むこうには
綺麗に綺麗に着飾った
女の人がいて

可愛い顔の
小さい女の子を
気持ち良くしているのは
男の人みたいで
そうじゃないから
怖いって
知ったあのとき
忘れられない

その
お兄さんは親切そうに
優しく
触れるのだけど
それはがらんどう
肉体だけが
いつまでも熱いの
桜色の唇も
透き通るみたいな
硝子玉の瞳も
純粋を
絵に描いたみたいな
性格も
やけにリアルな虚構

吐き気がするくらい
作り込まれた
女の子のファンタジー
潰れて溺れていく
今の
今までの逆襲みたい
街は
芳香の強い
パフュームであふれて
カラフルが飛び交う
汚いおじさんはゴミみたいに
塗り潰される

黒いものを白くして
無かった事にする
男の子のせいしは
綺麗なお姉さん達が
紅い唇で吸い上げる

ねえ
もうバカみたいに
はしゃげないのね
あなたの
目線の先には
女の子のおっぱい

いっぱいみえる

柔らかくて
マシュマロみたい
押しつぶされて
息苦しい

あの
おじさんみたく
蹴飛ばされないでね
綺麗な人は
とても残酷

女の子が使う
掃き溜めに
堕ちたら
最後
あなた
もう
どこにも
出られない

女の子の最後
あなた
もう
見届け
られない


自由詩 王子(カレ)という名の消耗品 Copyright 比良末潮里 2014-04-20 08:59:40
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