羊の影
草野春心
羊の影が
小径を歩いて行くのがみえた
人も居らず ごみばかり落ちている
その小径は雨の臭いに満ちていて
もう
まもなく、
日暮れが訪れる
マフラーを巻いた
四十がらみの女が一人、
並びの三階の窓から顔だけ出し
地を這い壁を伝う羊の影を 目で追っている
昔の歌を思いだそうとするように
ほそい眉をひそかにしかめて
自由詩
羊の影
Copyright
草野春心
2014-04-20 08:28:31
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