天使の真似事
ユッカ

たましいの裏庭で
待ち合わせたあの子はまだこない
チューリップもこんなに咲いちゃって
写真なんか撮らずに通り過ぎるくらいには
禍々しく咲き乱れているのに

シャッター音が嫌いだから
写真は撮らないで
絵を描いてほしくて
絵の具を贈るけど
きみはきっと水道に流しちゃうだろうな

目を閉じてしまうのは
眠いわけじゃなくてさ
三礼三拍手の作法も知らない
僕には祈る手段がわからないから
ただ目をつむっていたいだけなんだ

ぼんやりして
たまには泣いてみたくて
怒鳴ってみたくて
なんかうっかり死にたくなって
でもまあ
そんな毎日もまあいいじゃないかって
半分嘘で半分本音で

ここが天国じゃなくても
あくびしながら
生きていける程度の酸素があればいいって
半分嘘で半分本音で

きみのかかえてる、
不安とか、退屈とか
絶望を蹴散らして
手を引こうと
ふりむいたって
花びらに沈んだ裏庭で
見つめあったまま
笑うしかない僕等がいる


自由詩 天使の真似事 Copyright ユッカ 2014-04-19 23:02:26
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