光の歩
木立 悟




蒼い霧のなかの笑み
塩の光がつくる馬
曇を歪ませ 熱は駆け抜け
止まらない空を追いかける



足跡のような湖が
山の間につづいている
冬は地平の桃色の奥
静かに静かに脈うつ羽の根



海へと向かう金の道
海へと沈む金の道
ゆるやかにゆるやかに坂を下り
海へとたどりつく光



光は行先を照らさない
光はただ 胸元に点く
光はただ 胸元に笑む
雪に埋もれた地を描く



枝にまとわりつく赤が
重なる世界を廻してゆく
節に葉に幹にひろがり
透きとおる手に触れてゆく



道に置いてきた光
一歩二歩と振りかえり
一歩二歩と降り積もる
いつか見た景に似た色の朝
見つめる羽に涙する朝










自由詩 光の歩 Copyright 木立 悟 2005-01-20 13:31:07
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