日輪の見える断崖から
黒ヱ


「ここで鐘を鳴らし この愛を 遠くまで誓おう」


渡しの木々が遮る 山は聳え(そびえ)
拒む断崖に 鳴るは波音だけ

数多の鳥居が見える 昇りの線に沿って
身を焦がしては潜る(くぐる) 箕輪の清らかさに震え
離しそうになる 綺麗なもの

滑空する鳶
「あいや! また叫ぶ!」

見ている 飛ぶものに慄いて(おののいて)は渡る
飛んでいく この島を見下ろす

裸の枝に止まる鳶
「そうだ お前は 勝った訳だ」

金切りの様な 透き通り共鳴させる声
知らぬものを 冷たく見下ろす

願いの錠に絡めて 迷路の中に思惑を放り込む
丸みを帯び 境の無くなる天と海が白む
それを見たのが 手を伸ばす 淑女 

海だけが 波だけが 干渉し 侵食した
それは鋭利なもの とても美しいもの
飛び立ち 落ち また旋回し 絶景に線を描く

断崖だから 目前にあり 眩む

照らすもの
「鈍色に焼き尽くされ それをお前はどう思うだろう」

止まっている 前を向くことは無く


照らされるもの
「彷徨うから この夜だけでも逢えればいい
 残りの照らしも与えず 全て持っていたい
 この命尽きても ずっと」

指を絡める人 全てが同化した景色の中で 言う
願いの大海原 背に

愛を叫び また それに感化して浮かぶ 愛


鳶ども
「それで 仕舞い」





自由詩 日輪の見える断崖から Copyright 黒ヱ 2014-04-15 20:13:53
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