焦げたカレー
めー
焦げたカレー
僕は
死の味を知らない
生の味も、少ししか知らない
でも食べないと
この焦げたかおりが苦手だけど
食べないと
僕は誰であり
誰なのであればよかったのか
やっと寝かしつけた僕、の何人かが
寝返りをうつ
時はまたたくまに滑り落ち
キッチンでは悲しみが
ぐつぐつと煮えている
僕ももういい加減眠いのだけれど
もう足の踏み場もないこの場所で
小さな枕ひとつ抱えて
さあなさてなと問い答える声のような
悲しみの音を聞いている
悲しいかどうかもわからないのに
ハンドルを
少しひねれば
液体が
あふれ出してくる
装置から
僕の家の軒下へと
流れていく流れていく