ハッピーマニュアル
ただのみきや

弁当を作りながら
異能する君は謎の生命体
昨日までの怒りと不満が
女のカタチに脱皮して行く
鉤爪は残したままで

朝は不躾に明るい破魔矢
夜明けの夢を葬り去って
吉凶を告げるかのように
新聞に踊る文字は焼かれ
悲鳴を上げるふりをする

ダイエットのために生きるのか
暴飲暴食の宣伝広告
九十歳の認知症老人に
ペースメーカーを入れることは是か非か
噛む前に呑み呑み込む前に離陸

ネクタイの柄絞首刑にそなえて
マナーとしてズボンから白痴をさりげなく
荷馬車に揺られてドナドナ出勤
会社ではとんぼを切る切そこなえば真っ逆様
痛点が黄色点滅カラダは歳より悪あがき

朝礼後三秒流れて水は澄み
跳ねたり浮いたり沈んだり
ノルマを背負った人間魚雷が次々と
オトウサンハカイシャ二シバカレ二
オカアサンハ……ノチノセンタク二……

まずはセブンでコーヒーだ
まずは自分の心から 
目覚め始めて毎朝同じ疑問を巡り
同じように言い諭す
まずは……詩でも書いてみよう



     《ハッピーマニュアル:2014年4月11日》


自由詩 ハッピーマニュアル Copyright ただのみきや 2014-04-11 22:52:28
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