クロッカス
Lucy

雪解けを待ち切れず
雪の中に芽を出してしまう

だから雪を早くよけてやろうとして
芽をちょん切ってしまったこともある
苦い記憶
切られた芽は花にならない
でも次の年には
必ず芽吹く

慌てものの
お調子者
誰よりも先に
春を感知して

咲いた花の上に雪が降ることもある
でも必ず解けると信じて
耐え抜く強い花

陽射しの中で咲き終わり
土の中で眠り続ける
季節が巡り
再び冬が去るその一瞬だけを待ち

去年の秋に
植えた球根
よろしくね
これから何度も会いましょう

春が来るたび
あなたたちと
私の命があるあいだ



自由詩 クロッカス Copyright Lucy 2014-04-09 00:00:26
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