多面体
nonya
誕生日
私の多面体の面が
またひとつ増えた
生まれた瞬間は
まんまるだったはずなのに
歳を重ねるごとに
ひとつずつ面が増えて
今では寄せ木細工にも似た
得体の知れない多面体に
成り果ててしまった
眩しく照り返している面
どんよりと曇っている面
何かがこびりついている面
哀しいくらい磨かれた面
今となってはどの面も
なつかしくいとおしい
十五面体の頃は
まだうまく転がれなくて
二十五面体になっても
いろんなものを傷つけて
三十五面体あたりから
ようやく一人前の多面体になって
そこから先は
ひたすら球体に近づいていった
人は丸く生まれて
面を作りながら角ばって
面を作りすぎてまた丸くなって
転がるように消えていく
そんな直感を
多面体をゆらゆらさせながら
今日できたばかりの一面に
こっそり綴ってみた