ふたつ
葉leaf



分からない仕事を先輩に教えてもらう
先輩が笑顔で丁寧に教えてくれる
その優しい笑顔にときおりのぞかせる厳しさが
先輩と僕との間の優しさを成り立たせている

担当の係員へと書類を提出する
係員は軽やかに書類を受け取ってくれる
その機敏さに伴う慎重さ
書類ほど簡易でありながら枢要な情報はない

上司と対応策を協議する
上司は正確で膨大な知識の中に遊びを含み込ませる
そのわざと作り出されたような空隙に
新人が考え発案する余地が残されている

仕事における人とのやり取りは
親しみと分かり易さとあいさつが肝要
だが同時に軽い嫌悪と理解不足とあいさつのし損ないがあったり
そしてそれらすべてが温かい帰属感と同時に重い疲労となる

職場のやり取りには何でも相反するふたつの意味合いがある
すべてが均衡を求めて調和しようと動いている
それでも調和はいつまでも揺らぎ続けて終着点に遂に達しない
なぜなら不調和こそが調和を生み出す最も重要な動因だからだ


自由詩 ふたつ Copyright 葉leaf 2014-04-06 16:22:09
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