時計の音を愛する
黒髪

長い計算をする僕
徒労は計算の中にはない(それは完全に充実した行為であるから)
時計の歯車の噛み合い方
キチリキチリと回っている
車の列が止まらないような信号の変わり方
青黄赤
あの娘の通る道でわざとらしくなく出会っておはようを言えるタイミング
あくびは終えてから行かねばならぬ
すべてに必要なのは計算なんだ
君もしてみたら
計算の終わるところには強い西日が射している
西日の眩しさに目を細め僕は横たわる
誰にも言わなかった僕の願いが時計の中からカチカチとあふれだす
計算は終わったか?

物事のメッセージを受け取る僕
照り返しに服がだめになってしまうということ
海で魚の群れがやってきて入れ食いの釣果が上がること
お相撲さんが汗をかき息を上がらせて嬉しそうなこと
そう僕が愛する自分というものと周りというものが一つに重なる瞬間
一日は永遠のように長く感じられる

嘘だって美しいもの
ほんとに変わるさ
かばんに詰めた着替えに服を変えて
今はじめて知る喜びがある
いびつだっていいさ
形にとらわれなければ僕の唯一の真実があるから

時計の歯車がカチカチとなるのは計算が調和しているからなんだ
そしてメッセージも美しく流れだす
わかっただろ
昨日と明日が重なって今日の中で
幻想に寄りかかった戯言が戯れとして遊ぶ意識を変えていく


自由詩 時計の音を愛する Copyright 黒髪 2014-04-03 23:07:23
notebook Home 戻る