消される鏡面
小川麻由美

邪魔するもののない
桜の枝は見事に
川に伸びて行く
怖いもの知らずの
賢者のように

雨が降り注ぐ
水面に雨粒のいたずら
無数の円が形作られては
お互いに打ち消し合う
鏡面は形作られない

水面に桜を見出そうとしても
揺らいでいる桜しか映らない
視点をずらして
水滴が作る円を見る
思慮深い
瞑想する者のように

怖いもの知らずの
賢者のように


自由詩 消される鏡面 Copyright 小川麻由美 2014-04-03 18:08:34
notebook Home