イナエ


乗用車一台通れば
塞がってしまうほどの道幅
両側の家並みに
人は暮らしているのか
いないのか
どこも無口で
通り抜けるにも 身構えて
足音忍ばせ 
辺りに目を配る

ここは都会の住宅地 
春の昼下がり
車の波音は低く静かに
家並みを覆い 
しかし 
路地には下りてこない

家の奥で 
くぉんと一声 
犬が啼いた


自由詩Copyright イナエ 2014-04-02 09:46:37
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