三月の水
モリマサ公

小枝
小石
いきどまり
切り株
ほんのちょっぴりの孤独
ガラスの破片

太陽
これは夜
これは死
これは罠
これは釣り針
畑仕事
木の節目
カインガー
ランプ
マティタペレイル
枯れてしまった木
崖っぷち
ものすごく不可思議なもの
何かが欲しい
そうではない
吹き抜ける風たち
坂道の終わるところ
屋根の梁
穴のあいた場所
空のしたのパーティー
降り続けるレイン
川岸のトーク
それらはみんな三月の水

限界までする努力
これは足
これは地面
道をあるくときのビート
手のひらのカナリア
投げつけるための小石
空駆ける大ワシ
うずくまるウズラ
ちいさな川
わいている泉
ひとかけらのパン
井戸の底
ここは道のおわるところ
むかつく顔
ほんのちょっぴりの孤独
これは裂け目
これは爪
とても小さな点
落ちていくしずくたち
数える
物語
フィッシュ
ジェスチャー
銀色にひかっている
朝のひかり
瓦礫でいっぱいのトラック
丸太
今日
ここは道のおわるところ
これはカラのボトル
すばやくはしっていく人影
家を設計するということ
ベッドのなかで眠るということ
車がスタックする
泥の中で
泥の中に
ステップ
ブリッジ
ひきがえる
あまがえる
朝焼け
草むら
これらはみんな三月の水
夏が閉じていく
この約束は
あなたのこころ
その命そのもの




モリマサ公訳
アントニオカルロスジョビン
「三月の水」


自由詩 三月の水 Copyright モリマサ公 2014-04-01 08:01:35
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