おさななじみ
bookofheaven
わたしは覚えている
あなたはわたしの詩をよんで
あなたはわたしの言葉をよんで
これがすきだと
はにかむように笑ってくれた
わたしは覚えている
あなたは太陽の下で
あなたは吹雪のなかで
少しつかれて
でもしかたないって顔して
笑ってくれた
それで十分でした
それだけでうれしかった
あなたのなかに
あなたの目線の上に
わたしは確かに存在していて
それを感じられるだけでよかった
なにも足したり加えたくはない
そのままでいい
あの頃には思いもつかなかった長い年月が
あのときの光景に上書きされていく
若かったあなたの笑顔が
いまのあなたに重ね塗りされていく
互いの手についた油絵具を
無邪気に腕にこすりつけて遊んだ
白い肌とあなたの浅黒い肌を
きれいに汚した赤い油絵具
できあがりを想像することのできない
現在進行形の大きな油絵を
互い違いに塗り重ねながら
うつくしくできあがることはないとわかっていても止めることはできず
最初に描かれた下絵を忘れない
あなたの無邪気な線で描いた
あの頃のわたしとあなた
長い年月を重ねても
誰もがその結果しか見ない日が来たとしても