何もわからないのうた
なけま、たへるよんう゛くを

*一番


今強いか
今弱いか

正しいのか
卑しいのか
楽しいのか
苦しいのか
進んでいるか
落ちているか
見られていいか
誰も見ないか

隣の人は善人か
そのまた隣は悪人か
空の色が空色なのか
空色が空の色なのか
井戸の底から天を仰ぐか
雲の上から営みを笑うか
風と笑うは過去の日か
骨とすさぶは明日の日か

ゴミは要らなきゃ捨てるのか
意にも介さず捨て置くか
僕は良いよと続くのか
僕が良いよとうずくのか

何時なら言えたか
言うなと言うか
死ねば済むのか
死ねど済まぬか
狂っているか
それを望むか
もっと騒げか
ちょっと黙れか

いつも足りないその一歩
だれも富まないその一手

抗うべきだ
鎮まるべきだ

いくら脳内かき乱しても
何もなんにもわからない

*二番


とにかくやっておいたら良いよ
今は力をたくわえたら良いよ
まだ間に合うさ
終わってるね
誰にだって良い所あるよ
お前みたいなクズは見た事ない
ギリギリが勝負所
いい加減もうやばいって
あいつのせいだ
僕さえいなけりゃ

うるさい音ね眠れやしない
ここらも賑やかになったわね
人の活きれる夏が好き
人の静まる冬が好き
萌え芽の出づる春は愛らし
枯れ葉の積もる秋は愛らし

雨は止まずに地を流す
雨は畑に子を宿す
思い出遠く牛の声
手近身近に黄泉よもつ越え

正しくなろうと踏み外す
悪に浸って強くなる
ずるりと重たいこの気持ち
ぴくりと動かぬこの面持ち

嘘もあなたを喜ばせ
そんな誠で僕が死ぬ
ていうか死なない
ていうか死ね

はいかいいえが欲しいのよ
君の意見が欲しいのに

善いと呟き
悪いと叫ぶ

独り夜風によすが探すが
何もなんにもわからない

*三番


苦し紛れのその一刺しで
万人こぞって苦しめる
死ぬの生きるの口を突いては
露も思わぬ事ばかり

故郷ふるさと重ねた牛も吠え
暴れる指間に黄泉よもつの絵

風のけるは私の火
骨も砕くは私の火
うるさい音なら奴のせい
賑やみ嬉しは僕のせい
夏も桜の春花はるばな殺し
冬も秋空あきぞら白く汚すの
止まぬ雨のち鬼は滅ぶが
畑の玉の子鬼が食う
隣の善き人僕でない
それが悪でも僕でない

ゴミに役立つゴミもある
空に色無き空もある
足を急かせば追い越せるもの
御手みて当て添えば癒せるもの
今なら言えるか
言えとも言えぬ

やっておいたが時が無い
貯めておいたが時が無い
嘘もいても転がせ心
誠の前では困り顔
死なぬものなど居ないと知って
言われて死ぬなら何故話す
はいもいいえも僕の意見で
クズも乱世にゃ良い男

強くなくても抗うべきか
弱くなくても鎮まるべきか

善いが苦しく
悪いは楽し

逃げてどこまでかすみと踊れ
何もなんにもわからない


自由詩 何もわからないのうた Copyright なけま、たへるよんう゛くを 2014-03-29 19:31:32
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