素敵なパンツだね
末下りょう


片耳にさしたイヤフォンのなかで泳ぐ深海魚たちはゾンビみたいでも尾ひれで光る水泡は悪くない
ドラッグストアのシャッターの絵クリスチャン.ラッセンかよ
行き交う誰もが振り返らないねいつまでも
優しいきみの靴音だけがとまるラッセンの鯨の背中のところ
口からはゾンビみたいな深海魚たちが溢れでた

フンデルトヴァッサーのいとこがテキトーに組み立てたよなラブホの部屋には
有線からEXILEが流れてる
さっそく着エロなきみとスマホでハメ撮りしてキスをした
制服にかけると怒るからティッシュで受け止めて
ごみ箱に捨てる

それからイカ臭い部屋で不味い味噌ラーメン食べて
一緒にお風呂入ってバイバイした
パイパンのきみの下着の色は覚えてない
とっくに未知は散らばった
ハンカチ持つのも随分まえにやめた
涙を拭くまえの泣き顔にキスしたいから
通りのペットショップの店先で籠の鳥たちがないてる
ジュウシマツは文法をなくってさ
鯨に似てるらしい
状況と歌の対応だ
求愛は進化の糧だチョメチョメしたいのさ
でもフラれたジュウシマツはやばいな
そいつはきっと病んで鳥の文法を捨てるよ
そんで狂ったジュウシマツは頼りない枝の先っちょで
きっと詩をさえずり始めるな

人類はこりずに10万年前とたいして変わらない文法つかってるってさ
それ以前は詩をないてたか
きみのパンツの色はたぶん桜色だった
それがロマンス、いや郷愁ってもんさ



自由詩 素敵なパンツだね Copyright 末下りょう 2014-03-29 03:34:09
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