練馬インター
馬野ミキ

窓を開けると練馬インターが見える
皆ここからどこかへ行き
或いはどこかから帰ってくる
けれどこの街に立ち寄るわけではない
行き過ぎる人たちの中心に僕らは住んでいる

引っ越してきたばかりの部屋のクロスを汚さないように
窓を開けて煙草を吸っている
通りの向こうの住人が大画面テレビなので
煙草を吸いながらテレビをみる

子供部屋はだいたい片付いた
システムベッドも届いた
中国産だが6万弱した
勉強机とはしごで昇るベッドと収納とベッドの下の秘密基地がある
チャレンジ一年生と言いながら我が子自分の部屋で眠る

今日自転車の練習にうってつけの公園を見つけた
小学1年生になるとみな補助輪を外すからね
お父さんと練習しよう
子供部屋の入口には張り紙がある
「ぼくとあそびたいひとはノックしてください」
けれど明日は江古田でライブだ
明後日にしよう

今日、子どもを連れて前の家に行った
自転車で15分
掃除道具をかたした
もうこの部屋には何もない
擦り切れた畳
傷ついたフローリング
ヤニだらけのクロス
何もない部屋で僕らは記念写真を撮った
この部屋できみは生まれ僕は父になった






自由詩 練馬インター Copyright 馬野ミキ 2014-03-29 00:25:04
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