ある霧の朝
藤原絵理子
悲しい夢のなかにひたって
目覚めた後も
ムードだけは引きずっている
今朝もあなたはいないんだから
窓から流れこんできそうな
ミルク色の霧
ディテールをおおい隠す魔術
今朝もあたしはここにいるんだから
あなたに恋して
あなたに愛されて
幸せのレベルが上がるほど
あたしは不安になっていく
どうしても尋ねられないことがある
メガネをはずしたままでいたい時がある
臆病なこころが
霧の晴れあがるのを恐れている
幻想
永遠に幸福なふたり
それを信じていたいだけのこと
ウソでもいいなんて思い始めたら終わり
あたたかい
カフェオレの香りにつつまれた朝
あなたの言葉の底に探りを入れるなんて
どうかしてる