絶望はいつもまぶしい
ユッカ

毒づきたくて見あげたはずの
夕焼けが綺麗で
たとえわたしがポエマーでも
言うことなんか何もないくらい
それはあらかじめ完成された一編の詩となって
目の前に広げられていたから
もう死にたくってしょうがないやって
つぶやいてそれきり

まぶしくて何も言えない


仲良くしていた女の子の
わざとらしい手首の包帯
あの痛ましいほどに
あどけない白色
その奥に隠された
ひどく自虐的な美学
あるいは不幸自慢のための
ごくありふれた証拠物件

わたしはそれを軽蔑していた


震えながら落ちていく太陽が
ここら一帯をオレンジの海にして
夢みたいだね
あんまり綺麗だから
わたしはまたこの世界の
どこにいたらいいのかわからなくなる

あたたかいまま死んでいくたくさんの光が
わたしを掻き乱していくのに
傷跡すらくれないから
涙の止め方がわからないよ

お前がこの星の半面を照らしあげるほどに
熱量のある塊ならお願い
わたしを燃やして
いつまで経っても癒えない
あの子の手首の傷と一緒に
この湿気た衝動に
思い知らせてくれないか

生きていくしかない
生きていくしかないんだ


自由詩 絶望はいつもまぶしい Copyright ユッカ 2014-03-27 21:13:12
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