赤い空 「群青」四月課題『嵐』出品
芦沢 恵



それはなかったことにして

ではなく ないことにして

これもなかったものと泣き

いや ないものと叫びたいだけで


火の粉が夜空を浮遊する


仰ぎ見るわたしの口は 閉じるというメカニズムを失い

真っ先に考えた 火の粉の正体


まな板と包丁の柄

昨日の新聞紙と広告

半分だけ中身の残ったシャンプーの容器


まだある


布団と毛布と


もうやめにしよう


明け方の赤い空

明け方の赤い空だけが 震

火の粉が足元に舞い降りた 怖

20140322am3:25

やはり明け方の赤い空







自由詩 赤い空 「群青」四月課題『嵐』出品 Copyright 芦沢 恵 2014-03-26 19:14:06
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