私の顔
ichirou


私の顔は古い写真のようだ
いや
私の顔は古い

このアパートに来たときにトイレの棚に置いた手鏡は
ほこりまみれで
何の役目があったのやら

ほこりまみれであること以外
何も特徴のない手鏡は
魔鏡のようにもならず
ただトイレの天井を照らしていた

手鏡が
光を探しながら顔を映すものだとしたら
私はこの1年間
顔を見るための光を探していたのか
ほこりまみれにしたのは
自分を曖昧にしたかったからか

いま
手鏡に映っているのは
他人ではない自分の顔
ただ古くなっている自分の顔

そうに違いない

どうやら私は自分とは初対面ではないらしい

何度目か忘れてしまったが

いま私は自分という私に会う











自由詩 私の顔 Copyright ichirou 2014-03-25 22:51:48
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