くれてやっから
竜門勇気


一発やらせてくれるなら
君に僕をやらせてあげるから
眠たい壁にかじりつこうぜ
サムターンの方法を教えてあげる
腐った牡蠣の燻製の仕方を教えてあげる
空が見える 糞女にまたふられた

ケツの穴の使い方を教えてあげるから
君の口に俺のいーものつっこませてくれよ
星の名前の付け方を教えてあげる
ドアノブに犬の糞を塗りたくるときの作法を教えてあげる
食べる前にどんなことをすれば痩せるか教えてあげる ちょっと痛いけど
地べたの小石が見える この度は糞のように殴られたっぽい
何にも記憶にねー

くれてやっから
きたねえもんばっかしかねえから
きたねえもんしかあげらんねえけど
きたねえもんしか持ってねえから
これでも全部なんだ

くれてやっから
ぜんぶくれてやっから
気持ちについてくるんだ
きたねえもんがひとつ残らず

糞するだけで稼げる商売を紹介してあげる
けど俺にも見せてくれよな
時々でいいんだ 俺もそんな趣味があるわけじゃねえよ
ただ俺だけ知らないのはちょっと嫌だって思っただけさ
風呂場で鼻血を洗ってる 今日は覚えてた
君が本気で殴るのはわかってたぜ
汚れてるけど汚れてるだけなんだ

君にくれてやっから
きたねえもんばっかだから
きたねえ贈り物しかできねえけど
きたねえもんだから
ろくなもんはねえんだけど
何を触ったって何を我慢したって
きたねえもんしか きたねえもんしか
ねえんだけど
ほんとはなんで俺はきたねえのかわかんねえんだ

目を閉じて君のこと考えてると
世界で一番きれいな場所がそこにあるのに
目を開けばその正反対の世界で生きている




自由詩 くれてやっから Copyright 竜門勇気 2014-03-25 13:08:36
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