紡ぐ
梅昆布茶
言葉の繊維で細い白く光る糸を紡いでゆく
ゆっくりと一日かけて語彙と語感とを撚り合わせて
染色を施して様々な色の糸に仕上げてゆく
それはやがて布地に織り上げられ
誰かの肌を覆い隠してその人自身の言葉となる
言葉はどこからやって来るのだろう
あなたの毛穴から湧き出て来るのだろうか
それとも風に乗って海を渡る黄色い微細な砂粒に付着して
あるいは成層圏を突き破って降ってくる爆裂した星の破片に
公園に置き去りにされたちいさなピンクの幼児靴のなかに
潜んででもいるのだろうか
言葉の波動は時間の網を潜り抜け
空間を無にする速さで
忍び寄ってくるものだろうか
僕が
ア。イ。シ。テ。ル。
と言ったその言葉は
ほんとうは誰に伝わっていたのだろう
きみは誰だったのだろうか
そしてほんとうはどんな言葉を待っていたのだろうか