はゆらのみくす
日雇いくん◆hiyatQ6h0c
ローラ(もちろんヤッホー、ローラだよ〜のローラのイメージ)! きみはーなぜーにー!
とかなんとかゆってると誰かこっちに向かって走ってきたんだあ。
なんかっていうと登場人物を走らせるのって基本よね。増田みず子先生も海燕でやってたもん。おじさんが持ってるバックナンバーにあったもんね。
「なんだなんだあ」
砂煙とかあげてこっち来るし。
しかも超はやい。
おじさんぶつかって死んだりしないかなあ。
とかなんとかマドマギちがったドギマギしてるうちにー来た来た来た来たー、北ー! ていうのを前にマージャンしてたとき近所のおじさんがよく北の牌出しながらゆってたっけなあ。
わあ逃げなきゃ。
よく見たら集団だし。
しかも円陣組んで回転しながら走ってくるし。アニメのミスター味っ子かおまいらは! サンライズか! スタンハンセンか!
まあそんなわけで、ここで5人登場ってわけだあ。
ホントはおじさんもいるから出すのは4人でいいんだけど、それじゃダークダックスとかボニージャックスとかデュークエイセスとかそういう人たちしか思い浮かばないからなんか懐メロみたいだし5人でいいや。
どわあああああああああん!
でも道とかほっそいし。
逃げ場所ないっぽいし。
どうすっかあ。
「わあもうだめかあ」
しょうがないから観念して、購入三年目のガラケー出してダイヤルだぶるわんないんにお電話しよかっかあって思ったの。
したっけさ。
急に立ち止まって。
よく見たら兄弟だったの。
うち五人兄弟でさあ、おじさん長男なんだけど、ほかの人はみーんな北海道いるんだあ。
なんでまたこんないきなり東京の貧民層窟に来たんだあ。
ていうか一人多いし。
実名出すとアレだから年齢順にY子おじさんK二N美R子の五人なんだけど。
なんか知らん顔のおじさんがいる。
「どうしたの? ひさしぶりだあねえ」
すっとんきょうな気分になってたら、一番上のねーちゃんの口が開いたの。
「この人がね、あんたのにーちゃん!」
聞いたことはあったよ。
ねーちゃんとおじさんの間に一人いたっていうの。
子供のころ聞いた話では、なんでも流れちゃったってことで、あーにいちゃんがいたらなあよかったのになあとか思ってたっけなあ。
「おやじとおふくろがウソついてて、実は、生きてたんだよ」
弟のK二がぼつり。
「あっそうなん? でもわざわざいきなり東京来てまでサプライズってバカじゃないの……驚いたね」
某名人の口真似をしながら、おじさん思わずゆっちゃったよ。
「私たちもこの人にお金出してもらってこっち来たってわけさあ。紹介するよ、この人がHさん」
「へえ、おっかねもちなんだなあ。かーちゃんとかとーちゃんは?」
「もう旅行とか行くのキツいんだって」
「ふうん」
親がいないのは残念だったけど、妹二人にあらためて紹介してもらったその人は、おじさんよりかーちゃんに似てて、紅顔の美少年とゆわれた(一回だけ)おじさんにはかなわないと思うけど、まあまあいい男だったあ。
「はじめまして、Hです」
そっから積もる話いろいろして、なんでもうちがびんぼったれすぎたからどっかに預けられてて、そっからかーちゃんがポンポン子供生むもんだから、その預けられたとこの養子になって子供のころから東京に住んでるんだっていう話だった。
まあそっからその辺の店でビール飲んだり餃子食ったりしながらいろいろ話して、あっというまに時間が過ぎてったあよ。
そんでいよいよお別れのときになって、兄ちゃんにあたるHさんにこうゆったの。
「どうもこんな騒がしい兄弟ですけど、もうじきみんな死にますんで、短い付き合いですがよろしくおねがいします。しかし豪気ですねえ4人も呼ぶとは。さっきもゆったけどおっかねもちですねえ」
「いやーそんなことないですけど、せっかくですからね。家も近いしまたあらためて飲みましょう」
「いやーあんまりごちそうになるのもアレだから、てきとーにそのへんは……」
「まあお金持ちというよりは」
「いうよりは?」
何でかしらないけど、残りの4人が声をそろえてパンチDEデートごっこしてから、Hさんゆったの。
「越後製菓の切もちって感じですかねえ」
「正解は〜、って英樹か!」
そしてまた五人は円陣を組みながら回転して去ってったとさ。
元気だなあ。みんなもういい歳なのに。
いつまでも元気でいるといいなあ。
まあおじさんは、できるだけはやくこの世からいなくなりたいけどね。