キャラメルの日
望月 ゆき

天窓からのながめが
この世のすべてだとしたら
世界はキャラメルだ。

でこもぼこもなく
のっぺらぼうにつづく地面には
ただただ
マス目だけがのっかっていて
人々は暇をもてあますとそこで
チェスのこまになったり
うらおもてを黒白にぬりたくって
オセロをしたりして遊ぶ
ときには傷つけあったりもする
ときには手をつなぐことも
勝っても負けても
マス目からは絶対に出ない
世界はかぎりなく甘ったるくて
どこか居心地がいい
甘い甘い地面にはいつくばって
がっしりしがみついたまま
甘い甘いにおいにつつまれながら
生きてしまうということは
とてつもなくあやういだろうな
とか。

天窓のない部屋でキャラメルをなめながら
考えたこと。



自由詩 キャラメルの日 Copyright 望月 ゆき 2005-01-19 01:33:56
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