死の手 など六編
クナリ

<死の手>
足の先から順に触れてください
のどを最後にして欲しいから
最後に呼びたい名前が
あるものですから

あなたもそうで
あるように

あなたもそうで
ありますように。





<百年ルール>
あなたが落としたものを、私は拾って食べますよ
いえ、まあ、床の状態にもよりますけども
あと五十年くらいしても、変わらずそうでしょうよ
雲の上でも、そうでしょうよ。





<純愛>
足も、
尾も、翼も、
目も、耳も、くちばしも、
奪い去って、失くし尽くして、
鳥ではなくなった鳥の身のうちに、
なお残るような愛情しか求めない

君だけはそれを
純愛と呼んで呉れ
どうか君だけは
純愛と呼んで呉れ

どうか純愛と呼んで呉れ
どうか純愛と呼んで呉れ。





<異常者>
私のことが好きだなんて、あんたどっかおかしいんじゃないの。






<紙飛行機>
紙飛行機に乗りたいよね
壊れそうなほどいいよね

墜落した草原で
墜落したねって笑い合おうね

そして丘の上へ駆け上がって
ひとつも懲りずに
また紙飛行機に乗りたいよね

奇跡のような
われわれだったね。





<似たもの同士の不理解に似た理解>
それ、何?
また、いらないもの?



自由詩 死の手 など六編 Copyright クナリ 2014-03-23 20:15:44
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