16才
末下りょう


16才の同義語としてゆらめくライ麦畑でささやかれ
星と犬と光を殺した

指の隙間で
きらめく雷が
凍死するから

モンシロチョウのようなナイフにとまる
メランコリーの羽の
炎の上限と風の下限を
ざわめく闇に
浸して


頬の一本のうぶ毛すら痛むことなく
ライ麦畑から眺めた星空

呼吸することさえ一種の演技となり
夜空に縫い合わされたオーロラのへりを満たす夢に
空白に湿る包帯を巻きつけると
最初の1歩が最後の1歩だった


1つのドアを閉めて、もう1つのドアを開け
16個のケーキの136本のロウソクがふき消されるその灯りの切断面に
瑞々しく芽生える王冠


身体に描いたもう1つの身体の延長から水がひき
波際にあらわれる
星形の裂傷は散らばり
投げだされ

霞む水平線に傾いて刺さる砂の王国の束の間の漂流を
それぞれが抱き寄せ

旅先の朝のような
奥歯が、砕く



自由詩 16才 Copyright 末下りょう 2014-03-23 02:05:43
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